「大倉山ミエル」のこと

ひだまり事務所から歩いて2分くらいの場所に、「街カフェ 大倉山ミエル」はあります。

東急東横線の大倉山駅からだと、徒歩12分くらいの場所です。一昨年の3月にこの地に引っ越してきて、周りを散歩しているうちに、普通の一軒家とはちょっと違う建物に目が留まりました。調べてみると、子供たちやシニアの集まる場を提供しているみたい。その頃から、独立したらあの建物にご挨拶に行ってみようと一人心に決めていました。何かすごくひかれるものがあったのです。

自分の事務所を始めて、ロゴができて名刺ができた8月末に、NPO法人 街カフェ大倉山ミエルの代表の鈴木智香子さんを訪ねました。コロナ禍の真っ最中には開催が難しかった集まりを、やり方を模索しながら少しずつ再開しているとのことで、週に2回あるシニアの集まりにボランティアで参加させてもらうことになりました。

今は週1回のペースでシニアサロンにお邪魔しています。司法書士としては相続や成年後見が守備範囲なこともあって、勝手に「シニア担当」と称して関わらせてもらっていますが、シニアサロン以外にもちょこちょこ顔を出させてもらっているうちに、子供やお母さんが集まってくる時間帯に遭遇することも出てきました。

「インフォーマルなネットワーク」

大倉山ミエルに参加するようになって思い出した言葉が二つあります。

以前勤めていた地方百貨店でのこと。入社した年の冬に山一證券や北海道拓殖銀行の破綻があり、私のいた百貨店では、創業家社長が取締役会で解任されました。会社が不安定な状況の中、自分の担当売場にとどまらず何かしたいと思っていた私は、若手社員の有志で制作していた社内報の編集委員をやることにしました。参加して最初の頃の飲み会で、ある先輩社員が言った一言。

「会社は、インフォーマルなネットワークが大事なんだよ」

飲み会の席でのいきなりの横文字で、「なーに言ってんすか」みたいな雰囲気も若干あったように記憶していますが、私にとってはその百貨店にいる間、折に触れ思い出す言葉となりました。そして、あれから20年以上たつ今、また思い出したのです。

その真意は、部署などの会社の組織を越えたつながりこそが、本来の組織を活性化させる上でも大事なんだよ、ということだと私は受けとめました。それは、同期のつながりとか、有志の社内報委員とか、自然と何か名前をつけたくなるような、ただ気の合うメンバーの飲み会とか、ということです。

「第三の場所(サードプレイス)」

司法書士を志すちょっと前に転職活動をしていた頃、もう10年近く前のことですが、アメリカのスターバックスコーヒーの元会長、ハワード・シュルツ氏の本を読んだことがあります。

当時は日本のコーヒーショップではスターバックス一人勝ちな状況で、どうしてそこまで支持されるのかが知りたくてシュルツ氏の本を手に取ったのですが、そこには、スターバックスはただエスプレッソコーヒーを提供するだけの場ではなく、「第三の場所(Third Place)」である、という趣旨の記述がありました。

「第三の場所」という考え方はもともとはアメリカの社会学者のレイ・オルデンバーグという人が著書の中で提唱した考え方で、自宅でもなく、職場や学校でもない、自分の居場所、というような概念です。スターバックスは居心地のよい「第三の場所」を提供することを目指しており、そのことに成功し、支持を広げていたのでした。

「第三の場所」とは、所属していることが公のものではなく義務でもなく、離れようと思えばいつでも離れられる自由な居場所と私は理解しています。

「第三の場所」の濃淡

「インフォーマルなネットワーク」と「第三の場所」、二つの言葉を思い出してから改めて考えてみると、「第三の場所」にはいくつか段階があるような気がしてきました。

①プライベート空間に近い(接する人数が少ない)カフェやシェアオフィスなど

②職場や学校に準じた、同期会や同窓会、町内会、習い事などの集まり

そしてその二つの間に、

③どういう居場所かの定義も難しいような、”あいまいな”第三の場所

があるのではないか。

それは、女子会だとか、ママ友の集まりだとか、大倉山ミエルみたいな場所。コロナ禍においては、真っ先に自粛の対象になり、再開も積極的には難しい場所。「インフォーマルなネットワーク」の最たるもの。

でもほんとは、そういう場所こそが、今 必要なんじゃないかと思うのです。

最後に…

まわり道になりましたが。

大倉山ミエルは、地域の中で「インフォーマルなネットワーク」の要であり、「第三の場所」として機能している、素敵なコミュニティーカフェなのです。

私は、その在り方を学ぶためにも、それから微力ながらコミュニティーの一員として自分にできることをやるためにも、大倉山ミエルに参加していきたいと思っています。

どういう場なのかがこの拙い文章だけでは全然伝わらないと思うので、興味のある方はリンクを見に行ってみてくださいませ。

近々、子供たちによるイベントもある予定とのことなので、また折に触れ、取り上げてみたいと思っています。

☆ 「街カフェ大倉山ミエル」のホームページはこちら→https://cafemiel.jimdofree.com