法人の登記の「放置」について

今日はちょっと本来業務に関する話題を。

本日(令和3年10月14日)付けで、法務省からの「令和3年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について」というお知らせが官報に掲載されました。

法務省:令和3年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について (moj.go.jp)

(法務省の該当ページが新しいタブで開きます)

「みなし解散」って何?

株式会社で12年以上、一般社団法人または一般財団法人で5年以上、役員変更などの登記を一切申請していない場合は、法人として活動していない可能性があるとみなされ、法務省からその旨の通知が来ます。

それに対して「まだ事業を廃止していない」旨の届出を令和3年12月14日までに管轄登記所にしないと、職権で解散の登記が入り、その株式会社等は登記簿上、解散したことになります。

「12年」「5年」というのは、株式会社の取締役は最長10年(組織形態や定款によって異なります)、一般社団法人・一般財団法人の理事は2年、という法定の任期があり、重任(改選して同じ人が選ばれること)であっても改選期のたびにそのことを登記する必要があるのです。

今回のような法務省からのお知らせが封書で来た時によく読まずに放置してしまうと、例えば金融機関から融資を受けようとして、提出書類として会社の登記簿謄本を取ったら、知らないうちに「解散」の登記が入れられていた…ということも実際にあるのです。

自然人と違い、法人の存在を証明するものは「登記」であるため、その登記簿を法に則って「メンテナンス」していないと、上記のような「みなし解散」という処分や「過料」というペナルティーが課されることになります。

それ以外の法人でも「ペナルティー」はある

私が以前受任した、あるNPO法人の登記。NPO法人の理事の任期は2年であるため、登記されている「代表理事」「理事長」に変更がなくても、2年ごとに理事の変更登記を申請しなければならないのですが、その法人は設立の登記以降、10年間一度も登記申請をしていませんでした。

NPO法人には前述のような「みなし解散」に当たるものはありませんが、司法書士として、今後はきちんとサポートしますので理事変更の登記を今までの分、まとめてまずは申請しましょうとご提案しました。それに伴って、登記懈怠の過料が課されることもお話しました。

登記懈怠の過料については通知がその法人宛ではなく、法人の代表者の住所へ送られてくるということや、登記そのものとは直接関係がないのもあり、司法書士からは全容を把握しにくいのですが、事前にお願いをしておいて、実際に来た通知をそのNPO法人の理事長さんから見せていただきました。

5回分の登記を怠っていたのですが、一番古いものにだけ過料が課され、その額は3万円でした。これは理事長が個人で納付しなければなりません。

ちなみに「特定非営利活動促進法違反事件」というちょっと恐ろしいタイトルで通知が来ます。

法人運営は日々いろいろなことに追われ、実質的に変更がない場合は特に役員変更の登記まで意識が及ばないことも多いかと思いますが、一度現在の登記簿謄本を確認してみませんか。司法書士にご依頼いただければ、登記簿の取得から、登記申請が必要な事項の有無までご相談に乗ることができます。それ以降のメンテナンスもサポートします!

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